タンパク尿が出ていたら要注意!
慢性腎臓病(CKD)は、新たな国民病と言われ、患者数は国内で1330万人(成人の8人に1人)と考えられています。
CKDの初期には自覚症状がほとんどなく、夜間尿・むくみ・貧血・倦怠感・息切れ等の症状が現れてきた時は、かなり進行している場合が多いようです。
この病気は早期発見が難しく、尿検査でタンパク尿が陽性なら要注意です。そして、進行すると腎不全を引き起こし、人工透析を受けなくてはならなくなります。
≪慢性腎臓病(CKD)と診断されるのは?≫
@Aのいずれか、または、両方が3カ月以上続く場合をいいます。
@ 尿検査、血液検査、画像診断等で腎臓病を示唆する所見がみられる場合。
特に、尿検査でタンパク尿が出ている場合
A 腎機能の低下
糸球体濾過量(フィルターの役目をする糸球体が、1分間にどれくらいの血液を濾過し、尿をつくれるかを表す値=GFR)が、60mL/分/1.73u未満である場合。
※実際の糸球体濾過量を測定するには複雑な検査が必要ですが、日常診療において18歳以上であれば、血液検査のクレアチニンの値からおおよそのGFRが計算できます。
≪治療≫
(1)生活習慣の改善(食事療法、禁煙、飲酒・肥満・不規則な生活の改善)
〜食事療法のポイント〜
1. 塩分の摂り過ぎに注意
2. バランス良く食べる
3. タンパク尿が出ている人は、タンパク質の摂取を少なくする
4. 十分なエネルギーを補給するために油料理を上手く利用する
5. カリウムの制限(果物を食べ過ぎない・野菜はゆでこぼす)
ゆでこぼす:ゆでた後の汁を捨て去り、洗い流すこと(アク、渋み、ぬめりを除く目的)
6. リンの制限(乳製品を食べ過ぎない)
(2)薬物療法(血圧・糖代謝・脂質代謝の管理)
1. 血圧をコントロールする薬 → 降圧剤・利尿剤を使用
2. 腎臓の老廃物を体から追い出す助けをする薬 → 経口吸着炭素製剤を使用
3. 腎性貧血を改善する薬 → エリスロポエチン製剤を使用
4. 腎臓の体液・イオンバランスを調整する薬 → カリウム吸着剤・リン吸着剤を使用
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