糖尿病とは?
インシュリンの不足やインシュリンの働きが悪くて血糖(血液中のブドウ糖)が高くなる病気です。体質遺伝のある人が過食やストレスが引き金となって発症する2型とウイルス感染などで、まったくインシュリンが出なくなる1型があります。
インシュリンは、すい臓のβ細胞から血液中に分泌されるホルモンで、ブドウ糖を肝臓でグリコーゲンに変えて貯蔵したり、ブドウ糖が細胞の中に入るために必要です。
糖尿病ではブドウ糖は悪いもののように思われがちですが、細胞のエネルギー源で生きていくためには不可欠です。脳ではブドウ糖だけがエネルギー源です。
では、ブドウ糖はどこからくるのでしょうか?
食事のなかのご飯、パンや麺類などの炭水化物は、ブドウ糖などの糖がたくさんつながったものです。食事をすると唾液や膵液(外分泌)のなかのアミラーゼという消化酵素が炭水化物を、ブドウ糖などが5,6個つながったものまで消化分解します。
胃の中で消化されたものが小腸まで流れてくると、小腸にあるαグルコシターゼという酵素が、ブドウ糖1つずつに切り離し血液中に取り込みます。αグルコシターゼは、小腸全域にあるのですが、胃に近い小腸で殆んどが吸収されています。ブドウ糖が小腸から吸収される際にインクレチンというホルモンが血液中に分泌されます。血液中にブドウ糖が増えてくると、それが刺激になって、すい臓でインシュリンが作られ血液中に分泌されます (内分泌)。インクレチンは、インシュリンが作られるのを助ける働きがあります。
ブドウ糖が血液により全身に運ばれ、インシュリンの助けを借りて細胞の中に取り込まれ、エネルギーとして使われます。また肝臓ではグリコーゲンに変えられ貯蔵されます。
では、このときインシュリンが足りなかったり、働きが悪いとどうなるのでしょうか?
ブドウ糖が細胞の中に入れず、グリコーゲンにも変われなかったら血液中で過剰になります。これが高血糖です。
高血糖が続くと細い血管がつまり、眼底出血を起こしたり腎臓が悪くなったりします。現在透析にいたる原因は糖尿病が一番です。また太い血管では動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞が起こったりもします。またインシュリンがなくてもブドウ糖が入ることができる神経細胞では、細胞内の浸透圧が高くなって正常な働きができなくなり、しびれや痛みが生じたりします。ブドウ糖がエネルギーとして使えなくなると代わりに脂肪などを燃やしケトン体という不必要な物質ができたりします。これがいわゆる糖尿病の合併症です。
糖尿病の治療は、この合併症を起こさない。若しくは、それ以上進行させないために血糖をコントロールすることです。現在コントロールの悪い人は、ゆっくり時間をかけて改善してください。急激な血糖変化は糖尿病網膜症を悪化させることがあります。
血糖をコントロールするためには?というと
1に食事療法、2運動療法、3、4、がなくて5に薬物療法です。
但し、インシュリンが全く出ない1型糖尿病はインシュリン注射が不可欠です。
1.食事療法;バランスの良い食事で必要なカロリーを摂取する。糖尿病食は健康食です。
・食後血糖を上げすぎないために1日の摂取カロリーを3〜5回に分けて食べる。
・よく噛んで時間をかけて食べる。
2.運動療法;筋肉の運動でブドウ糖がたくさん使われ、インシュリンの働きを良くします。ただし合併症がある人は運動をしても良いかお医者さんに尋ねてください。
・汗ばむ程度の運動を週に3日以上、できれば毎日行う。 20〜30分の速足のウオーキングなど自分に合った続けられる運動をする。
・食後2時間に最も血糖が高くなるので、その時間をねらって運動をする。
5.薬物療法;食事療法と運動療法だけでは血糖コントロールが不十分な人が薬物療法を受けます。
・αグルコシターゼ阻害薬;
腸壁にあるαグルコシターゼという酵素の働きを弱めてブドウ糖の吸収を遅らせて血糖上昇をゆるやかにします。
・DPP4阻害薬;
インクレチンの分解を遅くしてインシュリンがたくさん作られるようにします。
・ビグアナイト薬;
肝臓でブドウ糖ができるのを抑えたり、筋肉などでブドウ糖が使われやすくします。
・スルホニルウレア薬;
すい臓に働いてインシュリンを出させます。
・速攻型インシュリン分泌促進薬;
働きはスルホニルウレア薬と同じですが、作用が速く現れ速く消えます。
・インシュリン抵抗性改善薬;
インシュリンの働きを弱めるサイトカインなどを分泌する肥満脂肪細胞を消滅し、インシュリンの働きを改善します。
薬物療法を行う場合、薬それぞれに低血糖や服用する時間など注意すべきことがあります。医師、薬剤師の説明をよく聞いてください。
解らないことがあればどんなことでもお尋ねください。
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