母乳による授乳中の薬の服用は大丈夫?
授乳中のお母さんも病気になり薬をのまなければならない時があります。
赤ちゃんに悪い影響を与えるのではないかという心配から、薬を飲むなら母乳を中止する、あるいは薬を飲むのを我慢するという事もあるのではないでしょうか。
母乳による授乳は、親子の絆を深め、栄養面や病気予防の利点がありますが、服薬のため授乳を中断後、母乳が出にくくなったり、乳腺炎等のトラブルを起こす場合があります。これは、母乳育児を続けたいお母さんには深刻な問題です。
最近の研究報告では、抗がん剤、向精神薬、ホルモン剤等、乳汁へ移行しやすい薬物を除き、短期間での服用については、ほとんどの薬で問題なく授乳が続けられることがわかってきました。
薬物の乳汁中への移行は、お母さんの服用量の平均0.5%で多くても2%とごく少量にすぎませんが、二ヶ月以内の乳児はまだ肝臓や腎臓の働きが不十分で薬を排泄する能力が低いため、母乳中の薬が赤ちゃんの体の中に蓄積され、思わぬ症状を起こすことがあります。
また脳関門(薬などの脳にとって不要なものを血液から脳に入らないようにする関所)が未発達のため脳障害も心配され、注意が必要です。
そこで、比較的安全と考えられる薬剤であっても母乳中への移行をできるだけ少なくするよう次のようなことに配慮すると良いでしょう。
@授乳の直後に薬を飲む。
A薬物治療を始める前に、あらかじめ搾乳をしておき、専用パックに入れて冷凍保存しておく。
※家庭用の冷凍庫(マイナス10℃程度)で安全に保存できます。
上記のこと等に十分配慮した上で、授乳後、赤ちゃんの飲み具合が悪くなる、眠りが浅くなる、元気がなくなる、湿疹が出る、機嫌が悪い、便や尿の状態が変わった時は、すぐに服薬を中止し医師又は薬剤師に相談してください。
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