妊娠中におけるシップ等(外皮用剤)の使用への注意!!
厚生労働省は、妊婦がケトプロフェン(非ステロイド性消炎鎮痛剤)のテープ剤を使用し、その副作用として胎児の動脈管収縮などが起きた症例が新たに多数報告されたことから、ケトプロフェンの全ての外皮用剤の製造販売業者に対し、妊娠後期の女性への使用を禁忌とするよう「使用上の注意」について、改訂指示を今年平成26年3月に行いました。
<妊娠中の使用に関する注意において改訂指示により追記・改訂された内容>
妊娠後期の女性
- ケトプロフェンの外皮用剤を妊娠後期の女性に使用した場合、胎児動脈管収縮が起きることがあるので、妊娠後期の女性には本剤を使用しないこと。
- 妊婦(妊娠後期以外)、産婦、授乳婦等に対する安全性は確立していないので、これらの患者に対しては、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること。
- ケトプロフェンの外皮用剤を妊娠中期の女性に使用し、羊水過少症が起きたとの報告があるので、必要最小限の使用にとどめるなど慎重に使用すること。
<参考>
- 成分名 :
ケトプロフェン(外皮用剤)
- 販売名(会社名):
(久光製薬)
モーラステープ20mg、モーラステープL40mg、
モーラスパップ30mg、モーラスパップ60mg、
セクターゲル3%、セクターローション3%、セクタークリーム3%
(ゼリア新薬工業)
エパテックゲル3%、エパテックローション3%、
エパテッククリーム3%
(ニプロパッチ)
ミルタックスパップ30mg などに含まれています。
また、ケトプロフェン以外の非ステロイド性消炎鎮痛剤の外皮用剤においても、薬剤の作用機序からは妊娠後期の女性に使用した場合、ケトプロフェンのテープ剤と同様に胎児に動脈管収縮が起こる可能性があることを考慮し、「使用上の注意」について下記のように改訂されました。
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上
回ると判断される場合にのみ使用すること。
[妊婦に対する安全性は確立していない]
- 他の非ステロイド性消炎鎮痛剤の外皮用剤を妊娠後期の女性に使用し、胎児動脈管収縮が起きたとの報告がある。
今後、特に注意して頂きたいことは、症例の中に家族から非ステロイド性消炎鎮痛剤を譲り受け使用したケースもあるため、腰痛などで困った時は自己判断での外皮用剤の使用は避け、必ず医師や薬剤師にご相談ください。
[用語について]
鎮痛作用及び解熱作用を有する非ステロイド性抗炎症薬。
外皮(皮膚)における炎症、発疹、痒み、創傷、細菌などの疾患に対して局所的に治療を施すための薬。
剤型として塗布剤(塗り薬)、貼付剤(貼り薬)、エアゾール剤(スプレー薬)などがある。
薄型の貼付剤で吸収性に優れ剥がれにくいものもある。
胎児は肺呼吸をしていないので血液を肺に送る必要がなく、血液のほとんどが心臓の右心室から出て大動脈から全身へ送られる。この右心室と大動脈をつなぐのが動脈管である。
動脈管が収縮すると右室に負荷がかかるため、本来使われない未熟な肺動脈が使われる。 このため、肺動脈が狭く硬くなり血液が滞留し心臓全体にも大きな負担となる。
使用しない。避けること。
羊水量が非常に少なくなった状態で、一般に羊水量が100mlを下回る場合を羊水過小症としている。
薬理学の用語で、薬が生体に何らかの効果を及ぼす仕組み、メカニズムなどを意味する
表現。
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