◆ デング熱とは?
デングウイルスが引き起こす、急性の発熱等の症状がみられる感染症です。
9月現在日本での感染者は140人以上に上り、全国各地で感染が確認されています。
日本では過去にも戦後に流行した事がある感染症で、約70年ぶりの流行になります。
◆ 原因
ウイルスに感染した人を蚊が吸血すると、蚊の体内でウイルスが増殖して、その蚊が他の人を刺す際にその人がウイルスに感染します。
ヒトからヒトに直接感染するような病気ではありません。 また、感染しても発症しないことも多くみられます。
日本でデングウイルスを媒介するのはヒトスジシマカで、この蚊は日本各地に生息しています。 今年流行が起こった原因には雨が非常に多く、蚊が繁殖しやすかった事が挙げられます。 ヒトスジシマカは日中に活動し、活動期間は5月から長いものでは11月で、その後卵で越冬します。 その卵を通じてデングウイルスが次世代の蚊に伝播することはないので、これから徐々に感染は落ち着く傾向になります。
◆ 症状
熱性疾患であるデング熱は、重症化するとデング出血熱やデングショック症候群があらわれる事があります。
感染してから2〜15日(通常2〜7日)は何の症状もなくその後、38〜40℃の発熱、激しい頭痛、関節炎、筋肉痛、発疹がみられます。 この発疹は風疹と同じような小さな発疹で、痒みや痛みはありません。
デング熱は、体内からウイルスが無くなると症状が消える、予後は比較的良好な感染症で、まれに患者の一部に*1血小板減少による出血症状を起こしたり、*2白血球減少を伴う事があり、その場合は適切な治療がなされないと、死に至る事もあります。
*1 血小板減少 :
血小板とは、出血した時に傷口をふさぐボンドのような働きをするかさぶたの材料の1つ。これが少なくなると青あざができやすくなったり、鼻血や歯茎からの出血がおこりやすくなります。
*2 白血球減少 :
白血球とは細菌やウイルスなどの外敵を排除する血液成分の1つ。これが少なくなると、体の抵抗力が落ちて感染症にかかりやすくなったり、重症化しやすくなります。
◆ 治療
デングウイルスに対する特効薬やワクチンはないので、症状を一時的に抑える治療を行います。
◆ 対策
蚊に刺されない事が何よりの対策です。
庭先や公園などでの服装は長袖・長ズボン、虫よけスプレーなどを利用し蚊に刺されないようにしましょう!
◆ その薬大丈夫?
デング熱の症状の1つに高い発熱がありますが、発熱を抑えるために服用する解熱鎮痛剤の中に血小板を少なくさせてしまう薬があります。 デング熱には血小板減少もみられるため、誤ってそれらの薬を服用すると血小板がさらに少なくなって、激しい発汗や震え、意識消失など症状がひどくなることもあります。
市販薬の痛み止めや風邪薬を服用する前に、まずは医師・薬剤師に相談しましょう!
<参考文献> 厚生労働省ホームページ
国立感染症研究所感染症情報センターホームページ
|