「エボラ出血熱」とは?
エボラ出血熱とは、エボラウイルスによる急性熱性疾患で、ウイルス性出血熱の中の一つです。出血熱と言っても、必ずしも出血症状が伴うわけではないので、近年ではエボラウイルス病(Ebola virus disease:EVD))と呼ばれることが多くなっています。
この病気の重要な特徴は、多数の死者を出す流行を起こすことで、現在、起こっている流行は、これまで知られている流行のうち最も大きな流行となっています。
<流行地域と感染経路>
アフリカでは、このウイルスに感染し発症または死亡したコウモリやサルなどの野生動物に人が接触したことによって、感染が始まったとされています。
現在、流行している地域は、ほぼアフリカ中部に限られていて、2014年3月に西アフリカのギニアで感染が始まり、住民の国境を越えた移動により隣国のシエラレオネ、リベリア、ナイジェリアへと地域が拡大しています。
ウイルスの感染経路は、空気感染ではなく、このウイルスに感染し発症した患者や動物の尿、汗、血液、排泄物、母乳などの体液に触れることにより感染します。
<症 状>
2日〜最長3週間(通常7日程度)の潜伏期間があり、その後、高熱、頭痛、筋肉痛、多臓器不全がみられ、更に喉の痛みや全身衰弱を引き起こします。それに続いて嘔吐、下痢、発疹といった症状が現れ、更に進行すると吐血、血性下痢、皮下出血など身体のいろんな部分からの出血症状がみられることもあります。
<治 療>
現在は、このウイルスに対する有効なワクチンや特異的な治療法が無いため、患者の症状に応じた対症療法を行うことになります。下痢で脱水症状を起こしている患者への点滴や併発感染症を避けるための抗生物質投与などがあげられます。その他には栄養治療食、鎮痛剤やビタミン剤の投与も有効です。
<予 防>
このウイルスに感染しないためには、流行に関する情報を収集しその地域には渡航しない。また、感染し発症が疑われる人や動物の体液(血液、分泌物、吐物・排泄物)に触れないことなど、病気に関する知識を持つことが大切です。
もし、感染の可能性がある人と接触した場合には、アルコールなどの消毒薬だけでなく、石鹸でも感染力をなくす効果がありますので、直ちに手を洗うなどの基本的な衛生管理を行ってください。そうすることで感染のリスクを下げることができます。
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